第10章 オフ②
ようやく腰に回された手が離れ、私は慌てて立ち上がる。
けど凪君は気だるげに首に手を回し、座りこんだまま動こうとしない。
「卓球の試合♪今んとこオシャ時光ペアが連勝中‼︎」
「今乙夜と烏、雪宮のチームと戦ってるけど蟻生が上手すぎてこのままだとアイツらも負けそう。」
「え〜面倒くさー。それ俺いなくてもよくない?」
「ダメダメ〜!一次選考のチームで戦ってんだから凪っちが参加しないと玲王1人になるじゃん!」
蜂楽君の言葉に凪君がピクリ、と僅かに反応を示す。
「そうだぞ凪。てか残すはお前らチームVの2人だけで勝った方が1位だから。」
「潔も負けたの?」
「え?あー…まぁ。」
「俺らチームZ、ボロ負けだし〜。てか潔卓球下手過ぎ〜。」
気不味そうに頭を掻く潔君の脇腹を蜂楽君が小突く。
そんな2人のやりとりを一瞥した凪君はスッと立ち上がると
「へー。じゃあやる。」
と言い残し卓球台のある方へと向かって行った。
「なんだかんだ凪っちもエゴイストだね♪」
「よし、俺らも見に行くか!も一緒に見ようぜ?」
『え?あー…私は、、、』
見たいような気もするけど……
もう少しここで1人大人しくしていたいと思い言葉を濁した
「いいの?どっちが勝つか気になんない?だってそのチームとっち、」
「あっコラ蜂楽っ‼︎」
蜂楽君が何か言いかけたのを潔君が慌てて止めようとしている。
(ーーーーー私?)
『・・・・蜂楽君、私が何?』
直感的にこれは聞き流してはいけないような気がしてじりじりと蜂楽君に詰め寄ると、
「一位のチームはっちと朝まで一緒に過ごす権利ゲット出来るって♪」