第9章 オフ①
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「ふーん…それでアイツらと一緒にいたんだ。」
渋谷にいた経緯を話し終えると、千切君は前を向いたまま、納得したようなしてないような口調で呟いた。
『まさか千切君や潔君にも会うなんてホントびっくりした。』
「それはこっちのセリフだっつーの。
試合での姿見つけた時もマジで驚いたし。」
『あっ!そう言えば千切君、足は⁇大丈夫なの⁇』
試合中の痛々しい姿を思い出し、思わず足を止めた。
「あぁ大丈夫、あん時は疲労とスタミナ切れで動かなくなっただけだから。もうへーき。」
『・・・そっか、良かった…。』
カラッと笑う千切君の顔を見て少し安心した。
のも束の間、口元に綺麗な弧を描いた千切君が突然顔を近づけてきた。
「言われた通り、俺のことちゃんと見てくれてたんだ?お利口さんじゃん。」
鼻の先が触れ合ってしまいそうな程の至近距離に心臓が飛び跳ねる
(ーーーーち、近っ‼︎‼︎)
挑発的な表情がやけに妖艶で、女の私から見てもドキッとしてしまうぐらい色気が出てるのは気のせいではない、はず。
『ちゃ、ちゃんと見てたよ…千切君、凄くカッコ良かった……』
顔が熱くなるのを感じながらも素直に思った事を伝えると、千切君は少し驚いたように大きな瞳を瞬かせた。
「・・・・いや、、、ストレートに言われると何か照れる//」
『えぇっ⁇人に聞いといて?』
「それは別。つーかそんな赤い顔で言うのはマジ反則。」
千切君は照れた顔を隠すようにふいっと顔を背けると再び歩き出した。
そんな姿に思わず頬を緩ませながら私も千切君の後を追う。
("カッコ良い"なんて言われ慣れてそうなのに千切君も照れたりするんだ……)
ブルーロックでは髪を下ろしてたけど、今日は後ろで一つに結んでいて、歩く度にポニーテールがゆらゆらと揺れている
中性的な顔立ちも相まって似合ってるなぁ…と見惚れそうになっていると、
「・・・にはもっとちゃんとしたとこ見せたかった。」
『ちゃんとって……?』