第9章 オフ①
ーーーーうまく、出来た、、、、
店の中へと入って行く玲王の背中を見つめていると、
「ちゃん大丈夫?」
乙夜君が顔を覗き込んできた。
『うん…平気、何でもないよ。』
「すぐ戻んの気まずいならもうちょっとここにいる?つーか寒くない?上着取ってこよっか?」
何も聞かずにいてくれる乙夜君の優しさが心に沁みる
そんな乙夜君にこれ以上心配かけちゃいけない、そう思い首を横に振った。
『…ありがとう。でも大丈夫だから一緒に戻ろ?』
「ん、オッケ。」
背中にそっと添えられた乙夜君の手が温かくて、泣きたくなってくる。
ーーーー不器用な私にしてはうまく出来たじゃないか。
それに私にピッタリの役回りだ。
いつも通りモカの仮面を被るだけ、たったそれだけなのに………
心の奥底ででいたいと思う自分がそれを邪魔しようとする。
ーーーーだから私は本当の自分に蓋をした。