第9章 オフ①
『乙夜君は2人が良いって言ったけど、私がブルーロックの皆んなが来るならそっちに合流したいって言ったの。
だってそうすれば何人か釣れるかもしれないでしょ?将来有望なサッカー選手。』
「・・・っ」
玲王の瞳が揺れ、思わず目を逸らしたくなったけどそこはぐっと堪える。
『まさか玲王が来るとは思わなかったら驚いたけど、私はそういう人間だよ?』
「・・・・んだよ、それ、、」
『あっ、そうだ。玲王の連絡先も教えてよ。そしたらまた会えるよね?次は仕事じゃなくてプライベートで会おうよ。』
淡々と喋りながらポケットからスマホを取り出そうとすると、その手を玲王に抑えられた。
「本気で言ってんの?」
真っ直ぐな瞳が突き刺さり、瞳の奥は怒ってるようにも見えて少しだけ怯んでしまう。
『本気も何も、、、これが私なんだって言ってるじゃん……。手、離して、、?』
無意識なのか、掴まれた手首は痛いぐらいに力が入っている。
腕を上下に振ってみるも離す気配はない。
「あの夜、俺に話した事……あの照れた顔は嘘じゃないだろ?
何でそんな風に振る舞うんだよ⁇」
『そんなのいちいち覚えてないっ、、、』
「なら俺の目を見ろよ⁈」
『っ、、、』
掴まれた腕の痛みなのか、胸の奥の痛みなのか、、、
目頭に熱いものが込み上げた時、
「おーーーい。何してんのーー?」
タイミングが良いのか悪いのか、乙夜君が姿を現した。
「ちゃん遅いから心配して来たけど……コレどういう状況?」
乙夜君の鋭い視線が私の手首へと落ちる。
『ごめん…今戻るとこ。玲王いい加減離して?』
私の冷ややかな声に玲王はギリッと奥歯を噛み締め手を離した。
「ーーーマジで意味わかんねー…」
玲王は髪をグシャと掻き上げ苛立ったように吐き捨てると店の方へ踵を返して行った。