第9章 オフ①
「、俺ーーー」
『しっ、試合観たよ⁈私初めて生でサッカー観たけど興奮しっぱなしだったなぁ…!』
玲王が何か言おうとしていたけど、私は慌ててそれを遮った。
何となく……だけどそれを伝えられたらグラついてしまいそうな気がしたから。
私はそっと距離を取るように身体を離すとニコッと笑みを貼り付けた。
『玲王の活躍はちゃんとこの目に焼き付けたから。
もう話し聞いたりハーブティー淹れたりは出来ないけど、これからは1ファンとして応援してる。』
「・・・・・。」
『そうだ、もう会えなくなるかもしれないし今のうちサインもらっておこうかなー……』
2人の間に流れる無言。
ーーーーやばい、目見れない。
誤魔化すように『ハハ…』と空笑いを浮かべ咄嗟に俯いた。
「サインとか、そんなの興味ねーだろ?」
『・・・・。』
「どんだけ有名な選手になろうが大企業の跡取りだろうが……。
は色眼鏡抜きで俺のことを見てくれるって思った。
の仕事は知ってる……
それでも俺はをもっと知りたいと思うしもっとーー」
トンッ
下を向いたまま玲王の胸を叩いた。
『それ以上はストップ、だめだよ…。
変な勘違いをさせちゃったんならごめんなさい。
私は玲王が思ってるような人間じゃない。』
「は?何言って、、」
『・・・今日だって何でここにいるか分かる?
試合のあの日、乙夜君と連絡先交換したの。
それで今日、デートに誘われた。』
玲王が息を飲んだのが分かった。
ーーー私はまた、玲王を傷つけてしまう。
でも、こうするのが一番良い。
ゆっくり顔を上げ、髪を耳に掛けると甘えるような目付きで玲王を見上げる。