第8章 キックオフ
1-2
試合はまさかのブルーロックがリードするカタチで前半を終えた。
「あぁ〜もう最高っ‼︎良い試合じゃな〜い⁉︎何だかブルーロック応援したくなってきちゃったわ〜♡」
『ほんと日本代表相手に凄いですね。』
「糸師冴もヤバいけど、あの弟君もやるじゃない‼︎見た目はクールなのにあの俺様プレーは堪らないわぁ♡ゴールの後のガッツポーズ見た⁇」
『は、はぁ…』
「あ〜興奮したら喉渇いちゃった!私今のうちにお手洗い行ってくるから。売り子来たらビール買っておいてちょうだいね?」
『え…まだ飲むんですか?』
当たり前じゃなーい♡と後ろ手をヒラヒラさせながら席を立つ社長。
顔色は全く変わってないけどトイレ近くなるんだよなぁ……と少し心配していると、
「豹馬〜!こっち向いて〜豹馬ぁ〜‼︎」
同じ関係者席に座っていた女性2人組の1人がピッチ向かって声を上げた。
ーーーひょうま、、、?
思わず声の主に目を向けると、言わずもがなすぐに誰の家族か分かった。
(めっちゃくちゃ美人‼︎しかも千切君そっくり‼︎)
同じ赤髪のロングヘアに目鼻立ちの整った顔立ち。
美人姉妹と言ったら怒られるかもしれないけど姉も弟も本当に美形だ。
「あ、気づいたよ!母さん。」
隣にいるお母さんもこれまた可愛らしく、ピッチに向かって控えめに手を振っている。
素敵な家族だなぁ…と頬を緩ませ、無意識に千切君の方へ目を向けると、まさに本人と目が合ってしまった。
『っ、、、』
「…」
目を見開き固まる千切君。
その隣には乙夜君がいて、お姉さんと千切君の顔を交互に見比べている。