第8章 キックオフ
(ブルーロックの中にこんな大きなスタジアムがあったなんて……
一体何人収容してるんだろ?)
U20日本代表とブルーロック選抜の試合開始まであと数分、スタジアムのボルテージもかなり上がっているように見える。
(当たり前だけど、ほとんどのサポーターは日本代表を応援しているんだなぁ…)
サポーターが着用しているユニフォームや応援グッズを見ればそれは一目瞭然。
入り口で渡されたパンフレットに目を通すも、日本代表贔屓なのは明確でブルーロックのメンバーは最後のページに小さな写真が載ってるだけだった。
(サッカー界のお偉いさんがここを潰したがってるって言ってたもんね…。きっと色々な圧力がかかってるんだろうな。)
そんな事を考えていると、横から社長の手が伸びサッとパンフレットを抜き取られた。
「U20とは言え皆んな良い男よねぇ〜、エースの閃堂もイケメンだけどやっぱりキャプテンの愛空よね?あの色気は反則よ〜
あっ、でも今日の主役は糸師冴かしら〜♡」
『・・・随分詳しいですね。』
「ふふっ、ばっちり予習済みよ♡サッカー選手ともパイプ作ろうと思って。これからの為にも若い顧客は増やしていかないとね♡」
(結局仕事に繋げるのか……。まぁ社長らしいけど。)
「では?ブルーロックのメンバーで気になる子とかいないの?」
『え?』
「少なからずはブルーロックの方を応援するんでしょ?誰か推しはいないの?」
『・・・・・・別に。』
社長の探るような視線から逃れるようにビールを喉に流し込む。
「ふーーん…そう。
ま、こうして間近で試合も観れる訳だし色々な意味でをブルーロックに行かせて良かったわ♪」
『色々な意味って何ですか?』
「ふっ、そのうち分かるわよ〜。ってほらっ!始まるわよ‼︎」
社長の含みを持たせる言い方が気になりつつも、選手達の入場にスタジアム内は大きく沸き、私の視線も青い色のユニフォームに釘付けになる。