第6章 6夜
楽な道を選んだ私の今は空っぽだ。
熱くなることもなければ涙することもない。
玲王にはそんな風になって欲しくない、そう思った。
『・・・玲王は諦めちゃだめだよ?
やっと見つけた"宝物"なんでしょ?』
玲王の瞳が大きく揺れる
『頑張れ、なんて無責任な事は言えないけど……
私は玲王を応援するよ。
挫折しそうになったら何度だってここに来ていいから。夜中だろうが明け方だろうが話し聞いて美味しいハーブティー淹れてあげる。』
「・・・・・インスタントだけどな。」
『ゔっ、、、次はちゃんと茶葉を用意します…。』
「ふっ、冗談だよ。これで充分だって。」
玲王は笑いながらカップを掲げると一気に飲み干した。
その表情はここに来た時よりも少しだけ和らいでいて……
私の心も少し救われた気がした。
「でも、ハーブティーのせいかのお陰かわかんねーけど…………ちょっとスッキリした。」
『そこは素直に私のお陰で良いんじゃない?』
揶揄うように肘でツンツンと突いてみると意外な反応が返ってきた。
「そうだな、のお陰だよ。サンキューな?」
『・・・・。』
「え、何だよ…その豆鉄砲食らったような顔。』
「いやっ、、そんなに素直にお礼言われると思わなくて……ちょっと驚いた…。』
「はぁ?お礼ぐらい普通に言うだろ。」
『そっか…そうだよね。』