第5章 5夜
啄むように軽いキスをし、何度か角度を変えたところで、千切君に肩を押され引き離された。
苦しげに寄せられた眉は下がり、緋色の瞳は揺れていてーーーーー
間近で見る彼の表情に胸が締め付けられる。
「大丈夫って何だよっ、、、‼︎俺は全然大丈夫じゃねーからっ、、、」
吐き捨てるように言うと、千切君は私をベッドに押し倒した。
「抱いたらスッキリすんの?」
『・・・それは、』
「意味わかんねーこのモヤモヤも、、、アンタを抱いたら全部スッキリすんのかよ、、、」
荒い口調とは裏腹に、千切君は壊れ物を扱うかのようにそっと私を抱きしめてきた
「頭では分かってんだ……分かってんのに……
つーか俺……マジ何しに来たんだろーな…。」
彼の吐息と少し弱った声がさらに胸を締め付ける
そんな千切君の姿に、自分勝手な事を言ってしまったと後悔した。
私がいくら大丈夫でも、相手が大丈夫じゃないなら……
これ以上は進んじゃいけない。
真っ直ぐで優しい彼を傷つけてしまう。