第5章 5夜
『えっと、早速だけど何か希望があれば聞くけど…。』
「・・・希望?」
『口が良いとか、体位とか…?シャワールームもあるからそっちでもーーー』
「いやいや、ちょっと待てって!」
千切君は焦った様子で言葉を被せてきた。
「マジでやってんの?ここに来るヤツらと全員⁇」
『そうだけど……それが私の仕事だし。』
「っ、、いや、そうだけど‼︎ちょ、待って。頭追いつかねー……。」
千切君は片手で顔を覆うと項垂れてしまった。
『・・・・。』
(千切君……もしかして私がここでしてる事を確かめに来たのかな。)
高校生の彼にとっては信じ難い事かもしれないけど……
これが現実だ。
そんな情を向けられても私はとっくにこの世界にどっぷり浸かってる。
項垂れたままの千切君に寄り添うように身体をくっつけるとじんわりと温もりを感じた。
『優しいんだね、千切君は。』
「・・・・。」
『でも私はこれで食べてるの。仕事なの。
心配、とか同情とかしてくれたのかもしれないけど、私は平気。
今更何も傷つかないし心もすり減らない。
ずっとそうやってきたから。』
柔らかな髪の間に両手を差し入れ顔を上げさせる。
綺麗な顔を歪ませた千切君と至近距離で視線が絡みーーーーー
『大丈夫だよ。』
そう言って彼の唇にそっと口付けた。
言葉よりもこの方がきっと私らしい。