第4章 4夜
『・・・ありがとう。』
「塗り薬はねぇから明日の昼間にちゃんと医務室行けよ?」
『はい…。』
コクッと頷きながら湿布を受け取ると、彼は手際良く片付け始めた。
(すっかり面倒を見られてしまった…。。。)
湿布をギュッと握りながら端正な横顔を盗み見する
『・・・・。』
(コンディションがどうとか、メンタルがどうとか。私には全く分からないし、口出し出来る立場じゃないのは分かってる。
けど、この湿布のお礼ぐらいはーーーーー)
してあげたいと思った。
『・・・・あのさ、クマ出来てるけど……寝れてないの?』
「・・・・別に。」
素っ気ない返事。
『私……サッカーの知識は全くないし何のアドバイスも出来ないけど…。話し聞くぐらいなら出来るから。』
あまり突っ込んで欲しくないのかもしれない…そう思いつつも、湿布に視線を落としながら続ける。
『本格的なマッサージとは違うかもだけど疲れを取るマッサージぐらいなら出来るし…確か寝つきが良くなるアロマとかあったはず。』
「・・・・。」
『地下2階の1番奥の部屋にいるけど、わりと遅くまで起きてるから……。』
俯いたまま押し黙る彼を横目で伺う。
(ーーーやっぱり余計なお世話、だよね…。)
お礼がしたいとは言えちょっと踏み込み過ぎたかも、と反省していると、隣から盛大なため息が聞こえてきた。
「はぁ〜〜……つーかお前なぁ。
自分の部屋に男を呼ぶって意味分かってんのかよ…?」
『・・・・分かってる、つもりだけど。』
(私は純情な女の子じゃない。そんなの身に染みつくほどよく分かってる。)
けど、そんな私の本当の姿を知らない彼は眉を寄せグシャッと前髪を掻き上げた。
「ここには性欲の塊みたいな男が大勢いんだぞ?
初対面の見ず知らずのヤツに部屋の場所なんか教えんな、バカ。」
『・・・・・ばか?』
「そうだよ。ここで働くなら警戒心を持てって言ってんだよ。」
『・・・・。』
(持ってるつもりではいたけど、今回の事があったから強くは言い返せない…。)