第4章 4夜
「おい。」
『・・・・』
「お前、誰?」
『・・・ここの従業員です…。』
パーカーのフードで顔を隠すように軽く会釈をすると、「従業員?」と訝し気な顔をされてしまった。
(・・・こんな時間にうろつくなんて怪しいよね。お互い様だけど。)
説明するのも面倒だし、「それじゃあ」と出て行こうとした時、モニターから聞き覚えのある声がし、思わず顔を上げてしまった。
(あれって潔君のチーム、、、?)
大きな画面には潔君や千切君、凪君達が試合をしている映像が流れていて、初めて見る迫力のある試合映像に思わずその場から動けないでいた。
「・・・・お前、女?」
『あ、ごめんなさい…邪魔するつもりなくて…。』
「いや、それよりこんな時間に何してんだよ。」
『・・・・ちょっと薬を貰いに…。』
「薬…?」
特徴的な眉を顰めたその人はゆっくり立ち上がるとこっちに近づいて来た。
紫色の長めの髪、均整のとれた整った顔立ち。
けれど近くで見るとその目の下には隈が出来ているのが見てとれた。
(寝不足、、、?何かこの人、随分疲れた顔してるな……
体力的っていうよりーーーー)
「・・・医務室、鍵閉まってんだろ。」
彼は壁にもたれ掛かるように立つと短く息を吐いた。
『え、、、医務室って閉まるんですか…?』
「普通閉まるだろ…。」
呆れ顔をされてしまう。
(そうなんだ……それならしょうがない。
面倒だけど明日また取りこよう。。。)
『・・・分かりました。明日また出直します。』
じゃあ、と部屋を出て行こうとした時、
「薬って?何の薬?」
背中越しに声を掛けられた。