第11章 オフ③
ガタンッ
携帯は床に落ち、私はソファへ押し倒されていた。
『ちょっ、、いきなり何⁇』
「アイツらん中で誰かと寝た?」
覆い被された上、両手首はソファに縫い付けられてしまい身動きが取れない。
何より西野入さんの表情の変化に全身が凍りつく。
見開いた目は血走り、口元はピクピクと痙攣していて今にもキレる寸前だ。
ーーーーーやば……
この人は以前、私のお客を一方的に暴行した事がある。
その時も常連のお客さんと一緒に食事をし店を出たところを待ち伏せされた。
止める間もなく彼はいきなり襲い掛かると執拗に顔ばかりを殴り続け、ようやく引き離す事が出来た時にはお客さんの顔は酷い状態だった。
その時の恐怖が蘇る
キレたら何をするか分からない。
私だけならまだしも彼らに何かあったら、、、、
想像しただけで震えが止まらなくなる。
「や〜っと会えたと思ったら訳わかんない男とイチャイチャしてさぁ…マジ最悪な気分だよ。
で?シたの?」
『・・・・あの人達はただの友達だからそういう関係じゃない。』
ギリッと睨み上げハッキリと否定する。
「ほんとーーーに?誰とも⁇」
低くて冷たい声。
じーっと見定めるように上から見下ろされる視線。
ギチギチと音がしそうな程強く押さえつけられた手首。
正直今すぐにでも逃げ出したいし叫んで助けを呼びたい。
けど皆んなを巻き込めない。
どうにかしてこの人を連れてこの店から出ないと。