第11章 オフ③
西野入さんは私の髪に鼻を近づけるとスンッと鼻を鳴らした。
その行動に肩がビクッと震える。
「あ〜ちゃんの匂いだぁ〜♡久しぶりだなぁ〜♡
そう言えば髪、前より伸びたね?今の長い髪も似合ってて可愛いよ♡」
『・・・・えっとー…友達待ってるからそろそろ…』
腰を浮かせようとしたけれど、腰に回された腕がそれを許さなかった。
「ダメダメ〜!せっかく2人きりになれたんだからもうちょっとお話ししよーよ♡あ、なんか飲む?モカちゃん甘いもの好きだったよね?パフェとか食べる⁇それともケーキが良い⁇」
『いや…私はいらな、』
「あ〜そっかー、そうだよね〜。さっきカフェでケーキ、食べてたもんね?あの店のショートケーキ美味しかった?」
『っ、、、』
「あのチャラそうな男と仲良さそうにケーキ食べてたけどアイツ馴れ馴れしくない?モカちゃんにベタベタ触ってさぁ〜見ててスゲーイラついたんだけど。』
『・・・み、見てたの?』
震えそうになる声で訊ねると、西野入さんは当たり前のようにコクコクと頷いた。
「ホントはもっと早くに2人になりたかったんだけど邪魔なのがどんどん増えるからさぁ〜なかなか声掛けづらくて。
あの紫髪のヤツも鬱陶しかったけど、赤い髪のロン毛?あの女みてーなヤツ、マジで刺そうかと思ったわ〜。街中で告るとか頭沸き過ぎでしょ?」
徐々に荒くなっていく口調に身体はどんどん冷えていく。
(やっぱりずっと後つけられてたんだ……
どうしよう……どうにかして部屋から出ないと。)
「つーかアイツらほんとにモカちゃんの友達〜⁇
見るからに頭悪そーだし金も持ってない感じだし⁈あんなクッソつまんない奴らの相手なんてそこら辺の女で十分だっての。俺のモカちゃんに手を出すとか100万年早いんだよバーーーカ‼︎」
早口で捲し立てながら嘲笑う彼を横目に、こっそり携帯を出そうと上着のポケットに手を入れた時ーーー