第11章 オフ③
突然後ろから腕を引っ張られーーーー
ガチャンッ
声を上げる間もなく、引き摺り込まれるように近くの部屋へと押し込められた。
そして逃げ道を塞ぐようにその人物はドアの前に立つと嬉々とした表情で私を見下ろし……
「モカちゃん、会いたかったよ♡」
『に、西野入、さん、、、、何で⁇』
しーーっ、と人差し指を口に当てにっこりと笑う彼。
側から見たらイケメンの部類に入るのだろうけど、私にはこの完璧な笑顔すら狂気的な笑顔に見えてしまう。
それぐらい彼は偏執的だ。
とりあえず距離を取ろうと一歩二歩…と後退りしたところで足がソファにぶつかりそのまま後ろへ倒れ込みそうになる。
『わっ、、』
「ちょっ、、モカちゃん危ないよ〜(笑)?」
腕を引っ張ってくれたお陰で倒れずに済んだけれど、そのまま腰に腕を回され密着するようにソファへ座らされてしまいーーー
ーーーー今に至る。
彼、西野入さんは多分カラオケに来る前から私の後を着けていたに違いない。
ゲームセンター、、いやもしかしたらカフェに入る前だったかもしれない。
人の多い渋谷なら上手く紛れるのは容易だし、こうして待ち伏せされるのも今回が初めてではない。
きっとこうして私が1人になるタイミングを見計らってたんだと思う。