第6章 ハスター 〜触手〜
『…ハスター、その目はなんだい』
……目?
表情を見分けられる奴なんて限られている。何の話だろうか。
『私の事を見つめて険しい顔して。そんなに刺身食べたかったなら言えばよかったのに』
今、自分は険しい顔をしていたのか。表情を意識した事など無い。
どんな顔をしたとて、目が開いてるか閉じてるか以外誰も見分けられないからだ。
やはりこの娘は使えそうだ。手っ取り早く自分の物にしてしまおう。
他の奴に取られる前に。
ー視点ー
ハスターが険しい顔をしながらこちらを見てきたと思ったら、今度は獲物を狙うような目で見てくるようになった。
正直もう十分快楽は味わった。あれ以上のモノを求めようとするほど私は馬鹿ではない。
人が感じられる限り最大の物は得ただろう、目的は満たした。変な事はされたくない。
ここ数日でめっきり性欲が無くなったなと、我ながら思う。
どうせならエッチな事より、ジェットコースターや飛行機みたいな、内臓が震えるキッツイ何かを味わいたい気分だ。
正直ハスターの顔の見分けなんかまともに出来はしない。
ただ、何となく、深淵の奥に何かしらの思惑が見え隠れしている気がする。
本当になんとなくだから違ってもおかしくはないんだけどね。
そうだ、今日は美智子の部屋にでも行こうか。この間クッキーを食べてみたいって言っていたし、マリーとガラテアも誘って茶会を開こう。
妄想を膨らませふふふと微笑むと、ハスターがユラと近付いてきた。
「なんだい?ハスター」
『、我の信者にならんか?』
いきなり何を言い出すんだこのタコ邪神は。