第11章 【新たなるもの】
クリスは何を……どこからどこまでを話して良いのか判断に迷った。
とにかく何が何でも、ロンが分霊箱の1つであるスリザリンのロケットを持ったまま離脱したことだけは隠しておきたかった。
何故なら、これを騎士団のみんなに話したら大事になるのはもちろん、勝手に解決されて、それぞれ『ダンブルドアから課せられた旅』が何だったのか、それがうやむやになってしまう気がしたからだ。
仕方なく、クリスは一緒に『死喰い人』に襲われている最中、ハリー達と離れ離れになってしまったと嘘の報告をした。
その後、自分はラブグッド氏に助けて貰ったが、再び『死喰い人』の罠によって捕まり、マルフォイ邸に連れて行かれたと話した。
「マルフォイ邸へ、かい?」
「はい、今はそこが『死喰い人』達のアジトになっているみたいです。それと……」
「それと、何だい?」
「ドラコが闇の陣営から抜けて、今、私と一緒に行動してくれています」
「それは本当かい、クリス!?」
「はい。マルフォイ夫妻も既に国外に逃亡したはずです」
それを聞いた騎士団員達は、わあ!っと驚きと喜びの声を上げた。
マグル生まれが捕まり、『死喰い人』や『人さらい』が増えつつある今、あのマルフォイ家が闇の陣営から離反したことは、不死鳥の騎士団にとって朗報以外の何物でもない。
また、アジトがマルフォイ邸だと分かった事も、今後の作戦に大いに役に立つだろう。
思ってもみなかった吉報に皆が興奮する中、ふとルーピン先生がこう問いかけてきた。
「それでクリス、ドラコは今どこに居るんだい?」
「お店の外で待っているはずです」
「当り前さ、僕らの店にマルフォイが足を踏み入れるなんて冗談じゃない」
「止さないかフレッド!!そう批判的な態度こそ、この戦争を悪化させている原因なんだぞ!!」