第11章 【新たなるもの】
フレッドの態度に、ウィーズリー氏が叱咤した。だがフレッドは何か言いたげに肩を上げると、耳を貸さぬようにフン、とそっぽを向いた。
まあホグワーツでの態度や行動からして、フレッドが敵対心を露わにするのも当たり前だ。
それに、大金はたいて買った自分たちの店の敷居を跨がせたくないのも良く分かる。
そんな中、ルーピン先生がこんな提案をしてくれた。
「そうか……よし、それじゃあドラコも気兼ねなく話せる場所に移動しよう」
「そんな場所あるんですか?」
「あるさ、ついてくれば分かるよ」
そう言うと、ルーピン先生はニコニコと笑顔になった。
クリスは言われるがまま、ルーピン先生と一緒に部屋を出て、ポスターのある部屋に戻ってきた。
ポスターから「君の趣味、随分変わっちまったな」と言われたが、言い返す言葉が見当たらなかった。
そのまま店の客に紛れながら外に出ると、ドラコが建物の壁を背に立っていた。そして突然現れたルーピン先生の顔を見てぎょっとした。
「やあ、ドラコ。久しぶりだね」
「そ、そう……ですね」
クリスを待っていたら、突然元教師でありつつ、少し前までは敵だった人間が現れて気さくに声をかけてきたのだ。
まさかの展開にドラコは凄くビックリした後、困ったように返事をした。
「ここで立ち話もなんだから、ゆっくりできる場所に案内するよ。ついて来てくれるかい?」
ルーピン先生の誘いに、ドラコがクリスの顔をチラッと見たので、クリスは確かに首を縦に振った。
何処に案内されるのかは分からないが、まさかルーピン先生が危険な場所に案内する事だけはないとクリスは確信していた。
「……分かりました。案内をお願いします」
「よし!それじゃあ『姿くらまし』をするから、2人とも僕の腕をつかんで」
言われるがままに先生の腕をつかむと、『姿くらまし』独特のゴム管を通る様な嫌な感覚が襲ってきた。
だが、次の瞬間、目の前に広がる広がる光景を見て、クリスの顔がぱあっと明るくなった。
そこは過去1度だけ来たことのある、ルーピン先生の住むログハウスだった。