第11章 【新たなるもの】
「それで、作戦って言うのは?」
「まず、君が闇の陣営に堕ちたと言う噂をでってあげる」
「そんなことをしたらハリー達だけじゃない、騎士団の人達にまで狙われるじゃないか!!」
「おやおや、君のポッター達への信頼はその程度なのかい?」
「何だと?」
パンをかじりながら、いつもの様にちょっと人を小ばかにするドラコの言い方に、クリスは少し苛立った返事をした。
「僕がポッターなら直接会って話をする、本当に『闇の陣営』側に寝返ったのかどうか。そうすれば何処にいるかわからないポッター達を探すよりも、出会えるチャンスがぐっと高くなるだろう?」
「つまり、探すよりも探させろ……と、言うわけか?でも私とドラコが寝返ったことを知っている奴らはどうするんだ?」
「問題はそこなんだ。基本的にはやり過ごすが、時と場合によっては戦闘になるだろう。そういう時の為に、どこか隠れ家の様なものがあれば良いんだが……」
そう言いながら、ドラコは思い出したようにパンとかぼちゃジュースの瓶をクリスに渡した。
クリスもかなりの空腹だったので、ドラコに負けじとパンにかぶりついた。
「自分で言うのも変だが、『闇の姫君』を重要視している『死喰い人』ってどれくらいいるんだ?」
「僕も全体像を知らないから何とも言えないが、多分、君の想像より多くは無いさ。本当なら一ヶ所に留まってポッターがエサに食いつくのを待てれば良いんだが……今の君と僕とではそれは無理だろう」
そうして2人は作戦会議がてら空腹を満たすと、次はどこか良い根城を探さなければならなかった。
この秘密の部屋は襲われる可能性は殆どないが、物が多く手狭で休むこともままならない。
かと言って「隠れ穴」にはもう戻れないだろうし、グリモールド・プレイスも、いつスネイプが攻めてくるのか分からないからかなり危険だ。あとは……。
その時、クリスは自分が手にしているパンとジュースに目を付けた。そうだ、きっとあそこなら開店しているだろう。
「よし、ドラコ!次の行き先が決まった」
「やけに自信ありげだな、何処だい?」
「我らの先輩方が経営している店――『W・W・W』だ!」