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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第10章 【世界征服ごっこ】


「おい爺さん!居るんだろう!?手短に済ませたいんだ、かくれんぼは無しにしよう!」

 クリスはそこら中にかけてある肖像画たちに向かって、大きく叫んだ。すると壁に立てかけられた一枚の肖像画から、深くて低い声が聞こえてきた。

「また来たのか、それも今回は客人を連れてのご登場とは」
「クリス……?誰と話しているんだい?」
「ああ、紹介が遅れたな。私の、まぁ……祖父にあたる人物だ」

 一応、父様の父親にあたるから、祖父で間違いない――だが、この捻くれた老人を、祖父と紹介する日が来るとは思わなかった。
 それは向こうも同じだろう、クリスが紹介すると祖父の肖像画が大いに笑い出した。

「ククク……ハーハッハ!!そうか、そうか。どうなることかと思ったが、そこまで愚直に育ったか。クラウスもあの世でさぞ喜んでいるだろうな」
「どういう事だい?」
「知らなかったのか?私の父様は育ての親で――」
「それは知っている、でも……」

 平然としているクリスを前に、ドラコは言葉を濁した。
 そう、クラウスは育ての親であり、実の親ではない。だがその上で、彼女はあえて“祖父”と言い切ったのだ。
 その度量というか、開き直った精神力に、ドラコは唖然とした。

 小さい頃から意地っ張りで泣き虫で、何かがあると直ぐに拗ねて部屋に閉じこもってばかりだったあのクリスが、いつの間にこんな……幼い頃のクリスを知っているドラコとしては、感心する気持ちも半面、少し寂しい気持ちになった。

「なあ爺さん、まずは寝床と水、それと食料を確保したいんだが、母屋に立ち入ったら『死喰い人』が襲ってくると思うか?」
「そうさな、もしお前が『死喰い人』ならどうする?」
「……多少の危険を冒しても屋敷に入り込むだろうと読んで、屋敷全体に罠を仕掛ける……」
「はっはっは!!そうだ、そうやって人の心を読め、人を信じるな。前にも教えてやったぞ、自分の力だけが頼りだとな」

 相変わらず性根が腐っているクソジジイだったが、お陰で『死喰い人』達が罠を仕掛けていることは分かった。

 流石にこの秘密の部屋までは罠を仕掛けられなかったみたいだが、そこ以外は決して安全ではない……もとい、危険だらけというわけだ。
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