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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第9章 【例えこの先に何があっても】


「……正気か?死ぬだけだぞ」
「死が2人を別つと言うのなら、僕はその瞬間までクリスの傍にいます」
「青二才が……」
「……申し訳ありません」

 ドラコが頭を下げると、ルシウスは保持していた召喚の杖をドラコに渡した。それと同時に、マルフォイ家の当主だけが着用を許された、家紋入りの指輪も差し出した。
 これがあれば、魔法契約によってマルフォイ家の全権限がドラコのものとなる。
 つまりこれをはめた瞬間から、ドラコがマルフォイ家の当主となるのだ。

「父上!?」
「くれてやる、好きにしろ」
「しかし……」
「私も些か疲れた。……どうせ残された時間も少ない、ならば私も愛する妻と共に静かに暮らそう」
「……感謝します、父上」

 紳士らしく深々と頭を下げた後、部屋から出ようと踵を返したドラコの背中に向かって、ルシウスが声をかけた。

「待て、ドラコ」
「はい?」
「……死ぬなよ」
「――はいっ!!」

 未だかつて聞いたことがないほど、しっかりとした返事をしてドラコが部屋を出ていくと、ルシウスは僅かに口元を緩めた。

「すまない、ナルシッサ……最期の時まで、私と共にいてくれるか?」
「もちろんですわ、あなた。その為に、私はあなたと結婚したのですから」

 2人の夫婦は共に抱き合い、しっかりと口づけを交わした。

「愛しているナルシッサ……永遠に――」
「わたくしも、最期まであなたのお傍を離れませんわ」
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