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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第7章 【ラブグッド家】


 ラブグッド家での生活は、意外や意外、なかなか快適なものであった。
 家主のラブグッド氏は基本的に自動印刷機を動かしながら忙しそうにパタパタと家の中を移動していたので、クリスに必要以上あれこれ詮索するような真似はしなかった。

 また時折、記事を書くための記者を探して朝早くから出かけるときもあったが、そんな時も事前に知らせておいてくれたので、ラブグッド氏が返ってくるまで、クリスは家の中にあるものを……それも素晴らしく人生の役に立たなさそうな模型や機械など、色々観察出来てとても楽しかった。


 そんな平和な日常が1カ月弱も続いたが、杖の行方は依然として分からないままだった。
 時折偽物の杖を持って来る人物がいたが、どれもこれも似ても似つかない偽物でお話にならなかった。
 酷い場合では、時の人であるクリス・グレインを一目見たいという理由で会いに来る奴もいたので、ラブグッド氏の杖を借りてコテンパンに追い返す時もあったほどだ。

「クソっ、また外れか!」

 またしても偽物の杖を持ってきた馬鹿を追い返すと、クリスは口汚く罵った。
 早くハリー達と合流しなければならないのに、名前ばかりが有名だとこういう時本当にイライラさせられる。
 クリスが焦ってイライラしていると、ラブグッド氏が紅茶を入れてくれた。

「まあ、そう焦ってもしかたがない。そうだ、たまには街に出たらどうだい?」
「すみませんが、杖のない状況でそれはちょっと……」
「それもそうか……。いや、もうすぐウィンターホリデーでルーナが帰ってくるから、一緒に迎えに行こうかと思っただけなんだ。でもやはり無理そうだね」
「すみません……」
「君が気にする必要はない!ほんの少し気が楽になるように、と思っただけだよ」

 誰もが認める変人、ゼノフィリウス・ラブグッド氏。けれど、いざ一緒にいるとごく普通の親心を持った父親でしかない。
 ……まあ、時折印刷機で謎の大爆発をさせたり、謎のライターから胡散臭い情報を仕入れて来たりもするが、ザ・クィブラーの記事はハリーを応援する記事であふれていた。クリスはそれが1番うれしかった。
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