第7章 【ラブグッド家】
確かにこの2カ月ちょっとの間、当てもない旅がどれほど無謀かという事を体感してきたクリスにとって、家の中でくつろいで待っているだけで杖が戻ってくるなんて、これほど美味しい話しはない。
が、それではハリーとハーマイオニー、そしてロンと再会できるのはいつになるやら……。
ハリーとハーマイオニーの2人なら上手くやっていけるだろうが、問題はロンの方だ。ロケットの呪いに犯されたままのロンに、行く当てなどあるのだろうか。
クリスは、どうかロンが間違った道に進まないように、祈ることしかできなかった。
そして散々考えた結果、クリスはラブグッド氏の提案に乗ることにした。気になる賞金のことは「気にしなくて良い、君たちのお陰で今のザ・クィブラーがあるんだから」とのことだった。
それに元々賞金首だったクリスが、今度は杖にまで賞金がかかったとなったら、世間は大騒ぎだろう。
なのでラブグッド氏に協力してもらい、家の周りには出来る限り最大限の防衛魔術を施してもらった。
それと一応、ハリーとシリウスには手紙で簡単な経緯を載せて、に運ばせた。
その途中『死喰い人』やその手先どもが手紙を盗む危険性を考え、なるべく短く、且つハリーやシリウスならば分かってくれるだろうと信じ、一部フィクションや暗号を使った手紙にした。
それから3日後、シリウスからの手紙を送ってきてくれたフクロウは、案の定死喰い人達に襲われたのだろう、怪我をしつつも手紙を届けてくれた。
文面に文字はなく、赤い血を連想させる肉球のスタンプが押してあるだけだった。クリスはこれをシリウスからの「警告」だと解釈した。
確かに今の状態では下手に動くのは得策ではない。だが気掛かりなことに、ハリー達からの返信はなかった。
返信が送れない場所にいるのか、それとも違う理由があるのか。何も分からずじまいだったが、今のクリスに出来ることは何もない。
こうしてクリスはしばらくの間、心細い中ラブグッド家に厄介になることになった。