第7章 【ラブグッド家】
それから食事を頂くと、2人でこれからの事について話しあった。とにかく魔法の杖がないのでは、話しにならない。
それにとある情報筋によると、オリバンダー老はヴォルデモートに誘拐され監禁されているらしい。
そうなると、新しい杖を作るどころか、在庫から見繕ってもらうことも出来ない。
悩むクリスに、ゼノフィリウスはこう言った。
「それじゃあ、グレゴロビッチに杖を作ってもらうと良いかもしれない!実は私の杖もグレゴロビッチ作なんだ」
「グレゴロビッチというのは?」
「有名な杖職人さ。イギリスでは専らオリバンダー製の杖を使っている魔法使いが多いが、私はグレゴロビッチも負けていないと思っている」
「それで、その人は今どこに?」
「それが分からないんだ、北欧の、確か……デンマークで見たという噂話聞いているが……」
杖のない今のクリスにとって、噂を追いかけてデンマークまで行くには無理がある。
とにかくその日は色々ありすぎて疲れたので、そのままラブグッド家に泊めてもらう事にした。
翌朝、陽気な鼻歌とベーコンの焼ける良い匂いに目を覚ますと、1階のキッチンで朝食を用意しているラブグッド氏がいた。
「やあ、おはよう。朝食はベーコンとビーンズ。それとトーストで良いかな?」
「ええ、ありがとう御座います」
毎朝朝食は紅茶1杯で事足りるクリスにとって、明らかに胃の容量がオーバーしていたが、まさか文句が言える立場ではないのは承知している。
クリスがトーストをかじると、ラブグッド氏がニコニコしながら話しかけてきた。
「昨夜、あれから考えたんだ。君が杖を取り戻すまで我が家にいたら良いんじゃないかって!ザ・クィブラーも発行部数が大幅に増えたからお金の心配もいらない。どうだい、良い話しだろう?」
「でも杖を取り戻すって、どうやってですか?」
「そこさ!ザ・クィブラーで宣伝するんだ、賞金を懸けてね!そうすれば、見つかる可能性も高くなる!!」