第7章 【ラブグッド家】
「すみません、召喚の杖……じゃなくて、私の身長よりも大きくて、先端に大きな石が付いている杖を見ませんでしたか!?あと、ごく一般的な魔法の杖も!!」
「大きな石が付いた杖?ひょっとして……あぁ、あれじゃあないかな?」
ゼノフィリウスが指さした方向に、召喚の杖の柄の部分が見えた。先端に重りとなる召喚石が付いていたから、流されずに済んだのであろう。
水面から柄の部分が突き出していたので、クリスは再び川に入り召喚の杖を取り戻した。
逆にオリバンダー製の杖は、ほぼ木製で、この川の流れだ。深さはそれほどでも無いが、そのまま下流に流されてしまったら見つけるのは不可能に近い。
「しまった、どうしよう……まさか杖を失うなんて」
「残念だがこればかりはどうしようもない。それより家へおいで。早く着替えないと私も君も風邪をひいてしまうよ」
「はい……」
まだ秋と言えど冷たい川に入ったのだ、杖を探しに行きたい気持ちは山ほどあるが、今のままだと体力を奪われて倒れてしまう。
そんな事にならない様、クリスはラブグッド家にお邪魔させてもらうことにした。
* * *
ラブグッド家は、思ったより川の近くにあったが、そしてやはりと言うかなんと言うか……ヘンテコな看板がいくつも立っており、建物はありきたりな家ではなく円筒形の筒のような形をしていた。
クリスは早速シャワーをあびさせてもらい、洋服もルーナのものを貸してもらった。
ロンとハリーの喧嘩に続き、冷たい川への落下。ホッとしている場合ではないのは分かっているが、ついつい深い安堵のため息をついてしまう自分がいた。
父親のラブグッド氏曰く、ルーナはさっきの川で釣りをするのが好きらしい。
他にもルーナの好物や日常的な微笑ましい話しをしてくれた。
これが世に言う父親というものなのかと思ったら、クリスは少しだけ胃の辺りがギュッとした。