第6章 【散った友情】
ロンとハーマイオニーが2人きりの時はいつも通り、もしくはいつも以上にご機嫌なのだが、いざハリーとハーマイオニーが一緒に見張りや食料調達などに出かけてしまうと、嫉妬によってねじ曲がった思考回路に落ちることもあった。
だがこの現状を生み出したのは自分とハリーなので、クリスは当事者としてこれ以上嫉妬がひどくならないようになんとか誤解を解こうと試みた。
「2人ともマグル育ちだから、話が合うんじゃないか!?ほら、価値観とかも私たちと違う時があるじゃないか」
「吟遊詩人ビードルとか?」
「そうそう、そういった子供時代とかは変えようがない、ただ単純にそれだけさ」
「ただそれだけ……ね」
そう言いながら、ロンはダンブルドアからの遺贈品である火消ライターをカチッと押した。するとテント内のランプの明かりが全てライターに吸い込まれ、またカチッと押すと灯りが戻った。
手持無沙汰なのかなんなのか、ロンは最近頻繁にこのライターを弄ることが多くなった。
「これって、何の役に立つんだろうね?」
「全くもって同意見だ」
クリスも毎日、ダンブルドアからの遺贈品でもある銀の腕輪を磨いてはいるが、特に素晴らしいアイディアが浮かぶとか、素晴らしい能力に目覚めるとか、そんなことは何1つとして起こらなかった。
もちろんハリーもハーマイオニーも、ダンブルドアの遺贈品の謎について、これと言った答えは何も得られていなかった。
旅を始めた最初の2、3週間は、特に何も問題はなかった。何故なら3人ともロンの怪我の回復ばかりに気を取られて、ある意味ではみんな“同じ目的に向かっていた”のだから。
だがそれがなくなり、遺贈品の謎と分霊箱の在りか、またその破壊方法について、何もかも分からずじまいの日々が続くと、4人の中に少しずつフラストレーションがたまっていった。
そして相変わらず数占い学での当てずっぽうの旅が続くと、見る見るうちに皆のモチベーションが落ちて来ていた。