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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第6章 【散った友情】


 そんな風に話をしていると、ふと三大魔法学校対抗試合の時にセドリックが岩を犬に変えていた事を思い出した。
 旅が始まってすぐ、ハーマイオニーは「ガンプの元素変容の法則の5つの主たるなんたらかんたら……」とか「だから何もない所から食べ物は出来ないの!」と言っていた。

 まあ流石に犬は無理かもしれないが、簡単な物ならどうにかなるんじゃないかとクリスは思った。
 駄目で元々と思い、クリスは足元に転がっていた手頃な岩に向かって杖を向けた。

「ジャガイモになれ、ポティトリフォース!」

 するとどうだろう、即興魔法とはいえ見事に石ころがジャガイモに変身したではないか!
 感激のあまり、クリスはハリーとその場でハイタッチをした。
 変身術はマクゴナガル先生が担当し、厳しい授業で有名だったが今となっては感謝しかない。

 その他にも色々試してみたが、見た目が似ていて、普段からよく食べている食材が成功率のカギとなっていた。
 なので当然ながら作り方を知らない料理は再現は不可能だったし、複雑な調味料の加減も出来なかった。

 それでも、この食糧問題の解決方法は画期的だった。クリスとハリーが首尾よく食べ物をいっぱい持って帰ってくると、4人は久々に歓声を上げての夕食になった。

* * *

 それから数日経ち、やっとロンの腕が治ったのを切っ掛けに、この場から『姿くらまし』で離れることとなった。
 今度は遠く水平線が広がる岸壁だった。そこでもハリーとクリスは気を利かして、ロンとハーマイオニーが2人きりになれる様にしていた。
 だがそれが、最初の間違いの1つだった――。

「……ねえ、クリス」
「どうしたんだ、ロン?」

 クリスが日課である腕輪磨きをしていたら、ロンがぽそっと質問して来た。

「ハリーとハーマイオニーが一緒になってる時ってさ、なんか妙だと思う事ない?」
「うん?」
「だから、仲が良すぎるって言うかなんて言うか……」

 その言葉を聞いて、クリスはピタッと手を止めた。
 ……しまった、2人の仲を取り持とうとしすぎて、どうやらロンのハーマイオニーへの恋愛感情が過剰に働いてしまったらしい。つまり、嫉妬の塊になってしまったのだ。
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