第6章 【散った友情】
「……ねえクリス、君のその想いは友達として?それとも恋人として?」
「またそれか。どうして仲の良い男女を見るとみんなそう思うのか」
「僕たちが今していることが、良い例なんじゃないの?」
「うぅ、まあ……確かに」
ハリーの言う通り、確かにロンとハーマイオニーを2人きりにするべく、テントを抜け出している点についてはクリスも同罪だ。
だがクリスには、どうしても巷で言う「恋」や「愛」についての在り方が理解できなかった。
例えばクリスにとってルーピン先生への想いは「恋」以外のなにものでもなかった。しかし周りの人達はそれは「本当の恋」じゃないとからかった。
また以前ハリーに対する「友情」を「愛情」だと捉える人もいた。更に加えるならば、どんなにロンと仲良くしていても、「友情」以外の感情を持ったことはお互い一度もなかった。で、あるならばセドリックとの仲は何と例えれば良いのだろうか…………
「……ああ、駄目だ。普段使いなれない頭の使い方をしたら頭痛がしてきた」
「そろそろテントに戻ろうか。僕、もうお腹ペコペコなんだ」
このハーマイオニーが用意したテント生活で一番厄介なこと、それは追手や人さらいではなく、食糧問題だった。
ホグワーツやウィーズリー家では食べ物が沢山でてくるのが当たり前だったから、食料のしょの字すら忘れていた。
流石のハーマイオニーでもそこまで気が回らなかったみたいで、仕方なく時折透明マントをかぶり、商店で代金だけをおいてこっそり品物を取ってくることも何度かあった。
あとは野生のキノコや植物をハーマイオニーがなんとか調理して食べられるものにしてくれるけれど、それらは味に大きな問題点を残していた。
「あ~あ、なんだかダーズリー家を思い出すよ」
「そんなに酷かったのか?」
「酷いもなにも、スープだけって日もあったよ」
そう言ってハリーは苦々しげに笑った。その横顔からはハリーの子供時代の悲惨さが垣間見えた。だからなのか、ハリーは逆境にとても強い。