第6章 【散った友情】
だがある時、ロンが火消ライターをカチカチ鳴らしながら灯りを出し入れしていると、ハリーが苛立って消すように命じた。
その言い方が悪く、一触即発とまではいかないが、テント内にピリリとした空気が走った。
一瞬の沈黙の後、ハーマイオニーがとても真剣な顔で、ハリーにロケットを外すように言った。
何故そんな事をさせるのか、ハリーは眉根を寄せつつロケットを外し、ハーマイオニーに預けた。
するとどうだろう、ハリーの顔のこわばりがなくなり、瞳も少しずつ光を伴っていつものハリーに戻った。
「ハーマイオニー、君、どうして……分かったの?」
「ちょっと考えてみただけよ。普通の魔法でも壊せないほど強力な闇の魔術がかけられているのよ。そんなものをずっと身に付けていたら、誰だって感化されるわ。ダンブルドアの黒くなった左手を忘れたわけじゃないでしょう?」
「なるほど、流石はハーマイオニーだ!」
こうしてハーマイオニーの閃きにより、スリザリンのロケットは皆で交代して首から下げるようになった。
長時間所持していると、呪いの所為で不信感や猜疑心など負の感情が大きくなるからだ。
ハーマイオニーの持っているビーズのバッグの中でも良かったのだが、あれはあれで中に物が詰め込まれすぎていて不便だったし、首から下げている方が失くす心配が無いという利点もあった。
まずハリーに次いでハーマイオニーがロケットを所持することになり、その次にクリス、最後にロンとなり、またハリーに順番が戻るシステムにした。
ロンの怪我はハーマイオニーの看病の甲斐があり、かなり良くなってきていた。また2人の雰囲気も以前とは違い、些細なボディタッチなどが目立ってきたりしていた。
するとクリスとハリーがどちらともなく合図を送って、そっとテントから出て2人きりにさせてあげることも間々あった。
「出会ってから7年かあ……」
「長かったような、短かったような、だな」