第5章 【冒険ごっこ】
そのことで、いくつか良い点と悪い点が発見された。
今、魔法省ではマグル生まれ登録委員会という、ハーマイオニーの様な純粋なマグル生まれのみならず、3親等以内にマグルが居る魔法使いも尋問にかけられ、杖を奪われる事態になっているという事。
そしてその尋問官の長官が、アンブリッジだという事と、例のロケットを毎日自慢げにつけて出勤しているという事だった。
「毎日毎日盗品を首からぶら下げて、よく恥ずかしくないよね」
「虚栄心の塊だから、周りに見せつけたいんだろ」
「でもどうして、アンブリッジはあのロケットの価値が分かったのかしら?」
「一応、審美眼があるんじゃないか?または野生の感だな」
「僕は後者の方だと思うよ」
あいつに知性の欠片も感じられないし、と、ハリーは罰則として右手に刻まれた傷を撫でながら言った。
* * *
4人は約1週間をかけて集めた情報を元に、ロケット奪還作戦を立て始めた。
先ずハリーとクリスが透明マントを被って、アンブリッジの執務室の前に張り込み、アンブリッジが来たら後をつけ見張りをする。
次にポリジュース薬を使って変装したロンが、伸び耳を使って裁判を盗聴し、アンブリッジが審議を始めるのを見計らってから、おとり爆弾を爆発させて、その混乱に乗じてロケットを取り返すという段取りになった。
因みにハーマイオニーについてだが、今回はハリー、ロン、クリスの3人らが、断固としてに作戦には参加させないようにした。
彼女は「今は4人とも懸賞金をかけられており、危ないのは同じ」だと言ったが、とんでもない。
いくら優秀な魔女とは言え、マグル生まれ登録委員会なんて危険極まりない法を取り扱っている場所に、ハーマイオニーを連れて行くのは絶対に避けたかった。
なので彼女には、中継地点として待機してもらうことにした。
もし魔法省に追われることになったら即、ハーマイオニーが身を隠している倉庫に『姿現し』をする。
そして4人そろったら瞬時にハーマイオニーが知っているマグルだらけの場所に『姿現し』をしてもらう。
4人はこれを「木をかくすなら森の中作戦」と命名した。