第4章 【果てしなく続く青空】
シリウスが杖を取り出したので、慌ててハーマイオニーがシリウスの手を遮った。
「止めてシリウス、そんなことをするからクリーチャーが素直になれないんだわ」
「コイツがひん曲がっているの生まれつきだ!クリーチャー、この屋敷の主としての命令だ。レギュラスが昔持っていたスリザリンのロケットについて知っていることを全て話せ」
シリウスがそう命令すると、死んでも言いたくないのだろう、クリーチャーは言葉が出てこないように、必死に歯を食いしばり、両手で口をふさいで床に暴れ出した。
それを見たハーマイオニーはとっさにクリーチャーに近づいたが、クリーチャーにとっては忌むべき『穢れた血』が近づいて来たことで、余計必死になり苦しみ暴れまわるので、流石のクリス達も見ていられなくなった。
「シリウス、流石にこれは……」
「騎士団の人間として、生ぬるいことは言ってられない。さあクリーチャー、真実を話せ!!」
ゼイゼイ息を吐きながらクリーチャーは立ち上がり、怒りを通り越して己の不甲斐なさから涙を流しつつ、事の顛末を話した。
* * *
それはヴォルデモート最盛期のこと――まずヴォルデモート本人がクリーチャーを連れて、あまり人の寄らない海の洞窟へ連れて行ったそうだ。
そこで小舟に乗り、亡者だらけの湖を越え洞窟の奥まで来ると、分霊箱の1つであるスリザリンのロケットを呪いの水盆に封じた。
そこで何故、ヴォルデモートがクリーチャーに共をさせたのか。それは呪いの水盆に満たされた魔薬を全て飲ませるためだったそうだ。
そしてその後、呪いと苦しみに悶え死に、水底に眠るロケットを守る亡者の1人になる。そこまでがヴォルデモートの計画だった。