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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第3章 【命からがら】


「今のがきっと、パパが言っていたスネイプ除けの呪文だよ」
「――ふむふむ、では君はスニベルスがあんな簡単な魔法にやられたとでも?」
「え?……ってその声は、シリウス!?」

 偽ダンブルドアが襲ってきた廊下の反対側から、今度はシリウスが現れた。もちろん煙やゴーストとも違う、皆のよく知るシリウス・ブラックその人だ。
 その証拠にクリス達4人の無事な顔を見ると、ホッと安堵の息を吐いた。

 一応ブラック家直系であり最後の嫡子として、代々に渡って屋敷に施してある魔法契約を、幾つも交わしているらしい。
 また今回はスネイプ対策として、結界が破られると瞬時に『姿くらまし』が出来る仕様になっていると言った。

「まさか逃げる先にここを選ぶとは思わなかったよ。スネイプが出入りできるだけでなく、ブラック家の屋敷として『死喰い人』達の間でもこの屋敷は有名なんだ。それなのにここを選ぶだなんてナンセンスだな」
「それでも良いと思ってここに来たんだ。スネイプをやれるなら、何だって良い」
「ハリー、それは勇気ではなく蛮勇というんだ。勝つためには、計画性がなきゃいけない」

 2年前はさて置き、今回は確かにシリウスの言う通りだった。たしなめられた4人はシュンと肩を落とした。

「まあ良い、君たちの無事を確認できただけでも大収穫だ」
「そうだ!他の人達は!?会場にいた人たちはどうなったの!?」
「キングズリーからの知らせでは、全員逃げ切ったようだ。ただ、それ以降はまだ分かっていない」

 予断は許されない、とシリウスは付け足した。
 何故だろう、実際に情報を聞く前と後では何かが違う。お為ごかしの励ましや推測ではない、事実と言うしなやかな恐怖が身を包み肩を震わせた。それと同時に、クリスは己の小ささを痛感した。
 クリスが眉間にしわを寄せて黙っていると、その頭にポン、とシリウスが手を載せた。
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