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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第21章 【ファム・ファタール】


「だってそうでしょう?やっと貴方が私のものになる時が来たのに」
「私のもの、か……。非常に申し訳ないがパンジー、僕はもう、クリスと共に生きていくと決めたんだ」
「あら、残念ね。でもそれは叶わないわ」

 パンジーが何でもない事のように言うと、ローブからサッと杖を出し、キャビネットを一瞬にして燃えカスにしてしまった。
 そのあまりの早業に、クリス達は杖を手に取る事さえできなかった。

 これは何かが怪しい……あのパンジーにこれほどの魔力があるとは思えない。もしかしたらロンの時と同様、闇の魔法か何かが作用しているのかもしれない。

「これでもう帰るすべはない、安心して貴方を殺せるわ」
「殺すだと!?」
「ええそうよ。貴方を殺して私も死ぬの。そうして貴方の魂に私と言う存在を未来永劫刻み付けてあげるわ!」

 さっきからパンジーの言葉を聞いていると、明らかに思考が歪んでいるのが分かる。
 そしてパンジーをここまで狂わせたその一端を自分が握っていると思うと、何も出来ない無力さに、クリスは悔し紛れに歯ぎしりをした。

「ねえドラコ?カルマって信じる?私は信じているわ。そして今日をもって、私は未来永劫、貴方のファム・ファタールになるのよ!!」

 そうパンジーが叫ぶと、何やら複雑に杖を動かし、これまで見たこともないような巨大な合成獣を呼び出した。
 それは全身に炎をまとい、大型の肉食獣と大鷲の翼、それと蛇のしっぽを合体させた、今まで見たこともない獰猛なキメラだった。

「さあ私の愛するキメラ、思う存分暴れなさい!!」

 キメラが羽根をはばたかせながら、クリス達の方へ喰らいついてきた。
 それをどうにかスレスレでかわしたが、その次の瞬間には尻尾の蛇が鞭のようにヒゥッと攻撃を仕掛けてきて、それがハーマイオニーの二の腕にあたった。

「熱っ!!」
「ハーマイオニー!!?」

 ハーマイオニーの悲鳴を聞いて振り返ると、二の腕の部分の服が焼けこげ、皮膚は真っ赤になっていた。
 それを見たロンは一気に表情が変わり、パンジーを殺しかねない顔つきになった。

「アイツ……ッ!!」
「大丈夫よこれくらい、問題ないわ」
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