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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第20章 【ロンの閃きとキャビネット】


 ハリーが不死鳥の騎士団のアジトへ行った翌日、ルーピン先生のログハウスから少し離れた場所で、クリスとドラコはハリーからパトローナスを呼び出す方法を教わっていた。
 しかしクリスもドラコも、動物どころか煙すら出せず、修業は難航していた。

「エクスペクト・パトローナム!!」

 しかし何度やっても杖からはなにも出ないし、同時に杖からも何の反応もなかった……。あんまりにも反応がなさ過ぎて、クリスは「もしかしたら杖の所有者だったジジイが邪魔をしているのかもしれない」とまで考えた。
 なぜなら攻撃魔法を唱えるときは杖が熱くなり、威力も上がるのだが、今は全く何も感じない。
 隣で練習しているドラコも、その成果はクリスと同じくらいだった。

「もっと幸せなことや、楽しいことを考えるんだ。2人にとって、人生で一番嬉しかった瞬間はなに?」
「ん~……父様から、召喚の杖を頂いた時?」
「なんで疑問符なの?じゃあマルフォイは?」
「プライベートな質問に答える舌はあいにく持ち合わせていなくてね」

 術を習得する2人がこんな感じでは、いつまでたってもパトローナスを召喚することは出来ないだろう。
 ハリーはため息を吐きつつ、少しでも2人の魔法が上達するように指導していると、そこにロンがやって来た。

「3人とも、ハーマイオニーがお茶にしようって!」
「よし、それじゃあ皆で休憩にしようか」

 ハリーがそう言うと、クリスは真っ先にロッジ向かった。近くまで行くとスコーンとクッキーの焼ける良い匂いがしたが、それをグッと我慢し、クリスはシリウスの様子を見に行った。

 一時はどうなるかと思ったが、ハナハッカのエキスと、ハーマイオニー秘蔵のエリクサーのおかげで、シリウスの怪我も殆ど良くなっていた。
 その証拠にシリウスはベッドによりかかったまま、いつもの様にたばこを吸いながら新聞を読んでいた。

「シリウス、何か気になる記事はあったか?」
「いや、特に無いさ。強いて言えば、『グリンゴッツ謎の襲撃、暴れて飛び去るドラゴン』って記事くらいだ」
「それ、ハリー達の名前は……?」
「大丈夫だ、載ってないよ」
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