第19章 【1日目】
初めて交わす熱い口づけに、クリスは体が熱くなってきた。が、これ以上は流石にまずい。
ドラコもそう思ったのか、熱く絡み合っていた唇を放すと、2人を繋いでいた銀色の糸が垂れ、ドラコはやや乱れた前髪をかき上げた。
「はぁ……はぁ……続きはまた明日にでもするかい?」
「な、何言ってるんだ、リドルを倒すまでおあずけだ!この馬鹿!!」
そう言うと、クリスはハリーやハーマイオニー達が寝ているテントに素早く避難した。
テントの中は小さな明かりが灯してあるだけで、ハリーは早々にベッドの中に潜り込んで、すやすや寝息を立てていたし、ハーマイオニーは日課でもある、寝る前の道具の整理をしていた。
「あら、クリス。やっぱりベッドが無いからこっちに来たのね」
「う、うん……」
流石はハーマイオニーだ。ちゃんと気をきかせて、クリスの分の寝床も用意してくれていた。クリスはその気遣いに感謝し、遠慮なくベッドで寝かせてもらうことにした。
先ほどのキスで、心臓はドクンドクンと大きな音を立てていたが、今日はもう本当に色々とありすぎて、ベッドに入ったらクリスは3秒と持たずに寝息を立てたのだった。
* * *
「――なるほど、分霊箱ですか」
「はい、簡単に言うと、ヴォル……『例のあの人』はそれを使って自分の魂を7つに分けました。だから肉体が滅んでも、魂は生き続けることができるんです。そしてその魂は、他人の体を乗っ取ることが出来ます。それはクィレル先生の時に証明されています」
その言葉を聞いた騎士団の中の何人かはざわついたが、古いメンバーたちは落ち着いていた。もしかしたら、生前にダンブルドアからクィレル話しを聞いていたのかもしれない。ハリーは話を続けた。