第19章 【1日目】
「とにかくあと1つ残った分霊箱の在りかと、それを壊す方法を考えなくちゃならない」
「分霊箱を壊せるだけの代物か……そうだ!グリフィンドールの剣はどうだ!?」
あのバジリスクさえ倒した伝説の剣だ。特級呪物を破壊するのにこれ以上の物はないだろうと、クリスが得意げに言った。
しかしそれを聞いて、ハリーとハーマイオニーの顔が曇った。
「それは……無理よ……」
「どうして?」
「グリフィンドールの剣は今、行方不明なんだ」
「行方不明!?」
そう言えば確かルーナと一緒に、『人さらい』に捕まった時に、グリフィンドールの剣がどうとかそんな事を言っていた気がする。
でもその時はとにかくルーナの命の方が心配で、情報がキチンと頭に入っていなかった。
どうも2人の話によると、ルーナとネビルとジニーの3人が、校長室からグリフィンドールの剣を奪おうと校長室に侵入したらしい。
だがそれが『死喰い人』であり教師でもあるカロ―兄妹に見つかり、剣を奪い返そうと強引に剣に触れた瞬間、さらさらと砂のように溶けて消えてなくなったと言う。
会話とともに焚火の炎が弱くなってくると、ハーマイオニーは手近にあった小枝を幾つか投げ入れた。
「多分、カロー兄妹が剣に触れたからだと思うわ……」
「そうか……」
となると、現時点で分霊箱を破壊できるのはクリスの召喚術くらいだろう。だが以前のように妨害される心配もあるし、何より今、その召喚の杖に細いが大きなヒビが入っているのだ。
これ以上悪化させないためにも、正直召喚術は控えたい。だが残された時間を考えると、そう我侭も言っていられないだろう。
もし、その時が来たら――クリスはグッと拳を握った。
「無くなったものは仕方がない。次の話しに移ろう」
「そうだね。次はどうやってホグワーツに行くか、だね」
きっと今頃、ホグワーツの周りはハリー・ポッター対策として、ありとあらゆる罠や結界が仕掛けられているはずだ。そんな中、どうやってホグワーツに侵入するのか。
恐らく隠し通路は完全にふさがれているだろうし、当然のことながら『姿現し』は使えない。