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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第19章 【1日目】


 ハリーのじれったい言い方に、なんだかんだドラコも興味はあるらしい。そんなドラコを横目に、ハリーはスニッチにキスをした。するとスニッチが開いて、中から黒い石のついた指輪が出てきた。
 それを見たクリスとドラコが目を白黒させていると、ハリーが「肉の記憶だよ」と軽く説明した。
 そうだ、ハリーは初めてクィディッチの試合に出た時、スニッチを手ではなく口でキャッチしたのだった。

 暗がりでは良く分からないが、焚火に近づけると石に何やら紋章が彫ってあるのに気づいた。
 ハーマイオニーの絵本に書き加えられていた紋章と同じだ。

「どうしてハリーにこれが?」
「そこまでは分からない。分かっているのは、これがゴーント家に伝わる家宝の指輪で、ダンブルドアが左手を犠牲にしてまで破壊した分霊箱だってことだけだよ」

 一連のショックで、クリスは一瞬息が止まった。あの無残にも真っ黒になったダンブルドアの左手は、今でもありありと記憶に残っている。
 クリスは銀の腕輪の下に隠された『闇の印』に目を向けた。こうしている間にも、ヴォルデモートは分霊箱の安否を確かめるため、国中を飛び回っているかもしれない。
 そして残された分霊箱があと2つだけだと気づいた時にはきっと……。

「その上でなんだけど、僕の杖が出来上がるまであと3日間ある。それまでどうにか時間稼ぎをして欲しいんだ」
「時間稼ぎか……条件によっては可能かもしれない。ホグワーツは結界だけじゃなく、立地的にも天然の要塞だから、攻められても2~3日はもつだろう?」
「君は馬鹿かいクリス?闇の陣営側の戦力と、こちら側の戦力にどれほど差があると思っているんだい?」

 確かに向こうは『死喰い人』だけではなく、狼人間や巨人、ディメンターなど闇の眷属達もいる。それに比べて、こちらは不死鳥の騎士団という有能たるメンバーは居るが、残った生徒のほとんどが、戦闘すらままならない一介の学生たちだ。そんな戦力差では、正直お話にならない。
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