第18章 【闇が晴れる時】
オリバンダーさんの言う通りにハリーが壊れた杖を取り出すと、これ以上壊れないように慎重に手渡した。
「不死鳥の尾羽……流石は不死と名の付く鳥の羽根。杖が折れてもなお力を宿している……」
「あの、すみませんが説明をしていただけませんか?」
「あぁ、これは申し訳ない……」
オリバンダーさんは、まるで星を読むケンタウロスの様に静かに、そしてゆっくりと語り始めた。
「この杖は先ほども言った通り、導かれてここに来たのです。まずポッターさんと命運を共にするグレインさんの杖が旅立ち、次にポッターさんの1番の親友であるウィーズリーさんに拾われた。そして最後にポッターさんの人生の師であるダンブルドア校長の不死鳥の尾羽が、今夜此処にそろった……これはただの偶然ではありません、類稀なき運命ですよ」
まさか本当にそんなことが?と、3人は首をひねった。すると棒立ちで佇むハリー、ロン、クリス達を前に、オリバンダーさんが深々と頭を下げてこう言った。
「ポッターさん、どうか1週間……いえ、3日間お時間を頂けませんか?そうすればこれらを元に、貴方に最高の杖を作って差し上げます」
「分かりました、3日ですね」
「ええ、私が杖造りとして長い間培った全てをかけて、作業に当たらせてもらいます」
長い牢獄生活ですっかり体が弱っていたはずなのに、オリバンダーさんの目にはかつてないほど、激しい情熱がほとばしっていた。
その瞳を見た3人はもう、3日後にはハリーにとって最高の杖が出来上がっているという確信が持てた。
ハリー、ロン、クリスの3人はオリバンダーさんに最後にあいさつすると、その場でテントのすぐ傍まで『姿くらまし』をした。そんな3人待っていたのは――!?