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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第18章 【闇が晴れる時】


 シーンと静まり返った路地に、3人のヒソヒソ話す声だけが響く。
 やっぱり明日にすればよかったかもと思い直したその時、内側からガチャっと扉が開いた。

「皆様、お待ちしておりました。そろそろいらっしゃる頃かと思い、看板を下げなくて良かったです」
「僕らが来るって分かってたんですか?」
「根拠はありませんが、長年の感でしてね。沢山の杖と一緒に居ると、不思議な気配を感じられるようになるんですよ」

 さあ、中へ。と誘われるがままに店に入ると、クリスは単刀直入に自分の杖を取り出し、川で杖を失くしたこと、それを運良くロンが拾ってくれたこと、そして何故かその杖が使えなくなっていることを簡潔に説明した。

「いったいどういう事なんでしょう?」
「ふむ……ちょっと杖を振っても宜しいですかな?」
「ええ、もちろん」

 クリスはこれまで使ってきた自分の杖を、丁寧にオリバンダーさんに渡した。するとオリバンダーさんは目をつむり、まるで鼓動を確認するかのように息をひそめ、杖を振った音に耳を傾けた。

「これは……眠っている、いえ、強いて言うなら、新たな主人を待っている状態です」
「新たな主人?」
「ええ。マルフォイ家の牢屋に閉じ込められていた時、杖を失くしたと仰られていましたよね?」
「はい」
「それを、偶然ウィーズリーさんが拾ったと?」
「えーっと……はい」

 ロンが少し気まずそうに答えると、オリバンダーさんは何故か旨いパイプかたばこを味わうように深く深く息を吸って、それからゆっくりと息を吐いた。

「嗚呼……なるほど、分かりました。これは偶然ではなく運命ですな。これだから杖職人はやめられない」
「どういう意味でしょう?」
「この杖は導かれたのです、彼方がた3人によって」
「導かれた?」
「ポッターさん、壊れた杖は今お持ちですよね?」
「はい、この中に……」
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