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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第18章 【闇が晴れる時】


「今気づいたんだけど、ハーマイオニーとドラコを同じテントの中に残してきて大丈夫だったのか?喧嘩とかしてないと良いんだが」
「あー……そこまで考えてなかった」

 ドラコがクリスの為に、一応『死喰い人』を辞めたのは良いが、元々は超が突くほどの純血主義者だ。
 それに対するハーマイオニーも、言いたいことがあったらハッキリ主張する性格だ。正に水と油と言えよう。

 3人は抜き足差し足でロッジを出て、恐る恐るテントの様子を窺がうと、焚火の近くで張り合うようにジャガイモの皮をむくハーマイオニーとドラコの姿を見つけた。
 その光景があまりにも不可解で、クリスを筆頭に、ハリーとロンの3人は神妙な顔で互いに視線を送りあった。

(何あれ、何してんの?)
(私だって分からない、なんで2人でジャガイモの皮をむいているんだ?)
(これって声かけたほうが良いと思う?)

 3人はその場で数秒決議した後、今は止しておこうと決めた。どうせアクシデントに巻き込まれるなら、もう少し状況が理解できる状態になってからの方が良いと判断したのだ。

「よし、それじゃあ早速オリバンダーの店に行こう」
「こんな夜中に行って平気かな?」
「さっきも言ったけど、“ダメで元々”さ」

 気楽そうにロンがそう言うと、3人は手を合わせて漏れ鍋まで『姿くらまし』をした。もう真夜中ということもあり、魔法界の玄関口である漏れ鍋も、シーンを静まり返っている。
 ハリーとクリス、それとロンはなるべく足音を立てないようにカウンターを横切り、レンガ造りのダイアゴン横丁の入り口に出た。

 ダイアゴン横丁からオリバンダーさんの店まではそう遠くない。
 本来なら『死喰い人』や『人さらい』達を警戒しなくてはいけないのだが、久しぶりにそろった3人はゆっくり歩きながら星を眺めたり、まだ少し冷たい空気を味わいながら、何故か抑えきれない胸のわくわくを愉しんでいた。
 そうしてオリバンダーさんの店に着くと、ドアノッカーを3回鳴らした。だが、何の物音もしない。

「……やっぱり留守かな?」
「まあ、時間が時間だしな」
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