• テキストサイズ

ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第18章 【闇が晴れる時】


 あの騒動の後、ロンはペンダントを持ったまま『姿くらまし』をしたは良いが、行く当てもなく各地を転々としたという。そこで偶然立ち寄ったのがリドルの屋敷がある、リトル・ハングルトンの村だと言った。
 そこの村人たちが散々噂しているのを聞いている内に、そこがハリーから聞いていた『例のあの人』が復活した墓場だと気づいたそうだ。

「ここに居ればハリーは絶対にやって来る。そう思ったんだ……」
「だけど、来たのはシリウスだった?」
「うん、シリウスは僕が『服従の魔法』にかかっているって思っていたみたいなんだ」

 確かにあの変わりようじゃあ、そう勘違いされてもおかしくない。
 クリスはジニーがリドルの日記に操られていた時のことを思い出しながら、改めて分霊箱の持つ恐ろしい魔力に眉をひそめた。

「とにかくシリウスは防戦一方で、隙があれば僕の呪いを解こうとしてきた。だけど僕はその時にはロケットの魔力にどっぷり浸かっていたから、シリウスがほとんど抵抗してこないのを良いことに、いたぶるだけいたぶって……」
「そうか……」
「でもなんて言うか、シリウスらしいね」

 正にハリーの言う通りだった。
 シリウスは友情をとても大切にする人だ。例えそれが自分ではなくハリーの友達だったとしても、本気で交戦なんて出来なかったんだろう。シリウスのそういう真っすぐな所は、本当に尊敬に値する。

 クリスは微笑を浮かべると、いつもとは逆に、寝ているシリウスの前髪をそっと優しく指先ですくった。
 たったそれだけなのに、クリスは凄く満たされた気分になった。この気持ちを、何という言葉で表現したらいいのだろう。

 シリウスの容体は問題なさそうだが、困ったのは明日からの分霊箱探しだ。もう占いなんてものに頼っている場合ではない。
 新たな計画を立てるためハーマイオニーとドラコが待つテントに移動しようと席を立った時、何のきっかけかは分からないが、ロンが唐突にさらりとこう言った。

「そう言えば僕、偶然クリスの杖を拾ったんだ」
「何だって!?いつ、どこで!?」

 正に青天の霹靂、寝耳に水。クリスはシリウスが眠っているのも忘れて大声を出した。
 すると再びシリウスがもぞもぞと身体を動かしたので、クリスは慌てて両手で口に栓をした。
/ 175ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp