第17章 【最後に勝つのは】
「たかがポッターのお供が、随分デカい態度を取れるようになったじゃないか。『例のあの人の』ロケットか何だか知らないけれど、それを使って今までのツケをを払うつもりかい?」
「ああ、そうさ。今までの僕は常にハリーのお供、主役の影でおどけている陽気なピエロだった。でも僕は変わったのさ。このロケットのおかげでどんどん魔力があふれて来て、どんな呪文も使えるようになった!もうピエロじゃなくなったのさ!!さぁて……今度は誰と遊ぼうかな?」
ロンは光を失った瞳でハリーとハーマイオニーの顔を眺めた。するとハリーが前に出るよりも先に、ハーマイオニーがスッとロンの前に立ちふさがった。
「いいわ、ロン。それじゃあ私とゲームをしましょう」
「ゲーム?よりによって君が?」
「ええそうよ、ルールは簡単。始めに3回、私に魔法をかけて頂戴。許されざる呪文でも何でも良いわ。もちろん死の呪文でも良いわよ」
「ハーマイオニー!?」
「皆は黙っててッ!!」
まさか自分からロンの魔の手にかかりにいくなんて、にわかには信じがたい行動だった。
みんなが咄嗟に止めさせようと口々に叫んだが、ハーマイオニーはそれを頑として受け取らず、じっとロンの目を見つめた。
ロンは思いがけないハーマイオニーの提案に一瞬キョトンとした顔をしたが、またすぐに邪悪かつ無邪気な笑顔になった。
「へえ?本当にどんな呪文でも良いのかい?」
「ええ、ただし3回魔法をかけても私を倒せなければ、こちらが反撃に転ずるわ。どう?とても単純でしょ?」
そう言って、ハーマイオニーは余裕の笑みを浮かべた。彼女にどんな奇策があるのか知らないが、今のロンはそう簡単には出し抜けは出来ないだろう。