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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第2章 【嵐轟く結婚式】


「――ねえ、なんで僕が女の子役なの?」

 不満をあらわにしたハリーが、赤いドレスローブ姿で登場した。ついでに言うとクリスが夫役で、シリウスは妻役に変身している。
 クリスは慣れない男性用パーティローブと、いつもとは違う目線の高さに違和感はあったが、これと言って不満はなかった。
 寧ろ可愛い女の子に扮したハリーを見てニヤついていた。

 因みにこの計画を提案をしたのは生前のムーディ先生だった。何度も何度も作戦を練った結果、敵の目を欺くにはまず味方からと、この方法が一番安全だと結論付けたのだ。
 なのでこの変装も、騎士団の中心人物しかしらない。
 クリスはニヤッと笑いながらハリーに話しかけた。

「どうしたんだい、可愛い“リリー?”折角の結婚式なんだからもっと笑顔でいなくては」
「それじゃあ“パパ”は、お友達のルーピンさんをいっぱいお祝いしてあげてね!」

 こんな機会は滅多にないと思って、意気揚々とハリーをからかったら、逆にハリーから強い殺傷力をもった返事が返ってきて、クリスは悔しさのあまり苦い顔をして口を閉ざした。

 また、本当のルーピン先生の親友であるシリウスは、女性ドレス姿のままルーピン先生がいる花婿控え室に入り浸って、誰よりもルーピン先生の結婚を大喜びしていた。
 自分ではなく、親友の結婚式をここまで祝福できるシリウスに、クリスは羨ましさと微笑ましさと共に心が温かくなる気分がした。

 だがそんな心温まる時間も、羽の生えたスニッチよりも早く駆け抜けていった。
 クリス達は一般客扱いなので、受付で招待状を見せるとジョージが席まで案内をしてくれた。

「やあ、初めましてだねミスター・グリーンとミズ・グリーン」
「こちらこそ、素敵な結婚式にご招待を頂き、誠にありがとうござます」
「そちらの小さいレディ、お名前を伺ってもいいかな?」
「……リリー・グリーンです」

 ジニーのおさがりの赤いドレスローブに身を包んだハリーは、物凄く不機嫌だったが、一応結婚式の場だ。雰囲気を悪くしないように頑張って愛想笑いをした。
 それを見たジョージが小さな声で「こりゃ良いおもちゃだ」と呟いて案内口に戻っていった。
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