第2章 【嵐轟く結婚式】
それからロンやハーマイオニーもさりげない口実を見つけて話しかけてきた。
クリスは上手いこと紳士の真似事くらいは出来たが、ハリーは『見物客』が来るたび終始ムスッとしていた。
そんな中で、唯一ただ1人だけそれを見破った人間が居た。
「……あれ、なんでアンタたち変な格好してるの?」
突然ふわりと春風のようなユラユラした声がしたと思って振り返ると、そこに居たのはルーナだった。小声でどうして分かったのか訊いたら、「だって表情が同じだもん」とだけ言った。
これほどまでの観察力、はたまた心眼の持ち主だ。一般人がついていけないのも良く分る。
隣にいる男性は父親のゼノフィリウス・ラブグッドだと名乗った。
父のラブグッド氏は、流石ザ・クィブラーの編集長らしい格好で、見るからにヘンテコで眩しいチカチカする黄色いドレスローブを着ていた。
* * *
それから暫くすると、会場である大きなテントは大勢のお客さんでいっぱいになっていた。
結婚式は順調に進められ、二組の恋人達が、神父の前で誓いを交わしキスをする場面になった。
……分かっていた、分かっていたけれど、ルーピン先生とトンクスがキスをする姿はとても耐えがたく、クリスはそれが終わるまで、ずっと下を向いて目を閉じていた。