第16章 【立ち込める暗雲】
さらにその上、ヴォルデモート自身もハリーを亡き者にせんとゴドリックの谷に向かっていたそうだ。
だが、機転を利かしたハーマイオニーが2階を爆破し、ヴォルデモートに捕まる寸前のところで『姿くらまし』をして逃げ切ったと言う。
しかし逃げ切れたはのは良いが、爆破と同時にハリーの杖がポッキリ折れてしまったそうだ。
「杖が真っ二つか……どうにか直せないのかな?」
「私もいろいろと試してみたけれど、どれもダメだったわ」
「おいポッター、それじゃあ今は誰の杖を使っているんだ?」
「ワームテール……ピーター・ペディグリューっていう『死喰い人』の杖だよ」
マルフォイ家の地下牢でもみ合った時に奪ったんだけど、正直持ってるのも嫌なんだ。と、ハリーは大きなため息とともにそう言った。
その気持ちはクリスも良く分かる、ベラトリックスの杖を使っていた時は本当に嫌で嫌でしかたなかった。
しかしオリバンダーさんは以前クリスが杖をなくした時、「心配せずとも、離れるべき日が訪れただけだ」と言っていた。
だからもしかしたらハリーも同じく、新しい杖を手に入れるチャンスなのかもしれない。そう考えると、少しだけ胸がワクワクした。
「なあハリー、オリバンダーさんの店に行ってみないか?良い杖に巡り合えるかもしれないぞ」
「でもオリバンダーさん、かなり体が弱ってたから、お店も休んでると思うよ」
確かに、オリバンダーさんは何か月も地下牢に閉じ込められていたのだ、それもかなりのご高齢なのにも拘らずだ。かと言って、別の杖の当てなんてクリスには思い浮かばなかった。
クリスは一瞬、実家の霊廟を思い浮かべたが、ハリーにそう言った場所は似合わないと思い、口に出すのをやめた。
「仕方がないからシリウスの帰りを待ってよう。何か良い案を出してくれるかもしれない」
「うん、そうだね」
その後、話しはダンブルドアからの遺贈品についてになった。
クリスはダンブルドアから遺贈品として貰った銀磨きセットには、別の目的があったんだと自信満々に語ると、ハーマイオニーも負けじと、もう殆ど謎が解けていると言った。
「私のはこれよ、『死の秘宝』のマーク。先生から頂いた本の至るところに手書きで書き加えてあるの」
「『死の秘宝』?」