第15章 【Dragon Sky】
「無茶苦茶言うなよ!飛び降りたら死んじゃうじゃないか!」
「待ってハリー!このドラゴンはウクライナアイアンベリー種と言って主に湖水地方に生息するの。このまま西に20㎞ほど行ったところに湖があるから、そこで飛び降りましょう!!」
「待ってよ、高度何メートルあると思ってるの!?」
「そ・の・た・め・に!魔法を勉強して来たんでしょ!!」
ハーマイオニーに一括され、ハリーは漸く目が覚めたようだった。そしてクリスも、やっと自分が何者なのかを思い出した。
そしてもう一度、暴風の中で召喚の杖を構えると、再び詠唱を始めた。
――そう、自分は魔法使いであると同時に、召喚師なのだ。
「水底に眠る清廉の乙女よ、古より伝わりし血の盟約において汝に命ず、出でよウィンディーネ!」
クリスはシルフと同時にウィンディーネを召喚させると、風圧に負けない様に大声で指示を出した。
「シルフ、ウィンディーネ!ハリー達が湖に飛び降りたら、怪我しないよう力を貸してやって欲しい!!」
「クリス!精霊を2体同時召喚なんかして大丈夫なのかい!?」
「知るか!無茶は承知の上だ!!」
そう、今優先すべきはクリスの体力ではなく、ハリー達との合流なのだ。
ようやくチャンスと呼べる機会に恵まれここまで追ってきたのに、もしここで離れ離れになったら、いつまた再会できるか分からない。
するとハーマイオニーの言う通り、ドラゴンが西に向かって飛び続けていると、大きな湖が見えてきた。
「そろそろ頃合いよ、準備は良いハリー!?」
「分かった!こうなったら、やぶれかぶれだ!!」
「援護は任せろ、行け!シルフ、ウィンディーネ!!」
2人が飛び降りると同時にウィンディーネが金の三叉を、シルフが銀の槍を掲げた。
するとハリーとハーマイオニーは着水と同時に、大きなしぶきを上げるどころか、水面にわずかな波紋だけを残し湖の中へ消えた。