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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第15章 【Dragon Sky】


 「ああ、もう良い!!とにかく僕の言うことを聞け!ポッター達を追うぞ!!」
「追うって、どうやって!?」
「おいウィーズリー、ここに箒はないのか!?」
「そりゃあ、あるけど……」
「それを貸せ!!」

 額に幾つもの青筋を立てて怒るドラコの剣幕に圧されて、ジョージがサッと店の奥に引っ込むと、倉庫からクイーンスイープを持って出てきた。
 ドラコはそれを奪い取るかのように受け取ると、混乱する店内など少しも顧みることなく、クリスの手を引っ張って無理やり店の外に出た。

「かなり荒っぽい飛び方になるから、しっかりつかまってろ!」
「わ、分かった!」

 クリスが言い終わるか否かのタイミングで、箒がブワッと上昇したので、クリスは慌ててドラコの背中にしがみ付いた。
 そう、いつもハリーの陰に隠れてつい忘れがちになっていたが、ドラコの飛行術の腕前も決して悪くはない、寧ろ良い部類に入るのだ。
 そのドラコが一瞬にして高度を上げると、今まで体験したことのないほど急激に加速しだした。

「あれだ!見えるか?あそこにポッター達がしがみ付いてるんだ!!」
「ほ、本当だ……なんでドラゴンの背に?」

 ドラコの言う通り、本当にドラゴンの背にハリー達らしき人影が2人ほど見えた。ということは、まだロンと合流できていないということだろうか。
 嫌な予感がしたクリスは、今出せる精一杯大きな声でハリーの名前を呼んだが、この距離と速度では、声など届くわけもなかった。そうこうしている内に、どんどんドラゴンとの距離が離れていく。

「クリス、もっと上体を前に倒せ!スピードが出せないだろう!」
「分かってるけどッ……」

 クリスは今まで感じたことのないスピードに翻弄されていた。どのくらいかと言うと、風圧で碌に目も開けていられないくらいだ。
 そのうえ、身の丈以上もある召喚の杖が邪魔で思うように体勢を整えることが出来ず、ただドラコの背中にギュッと捕まっているだけで精いっぱいだった。

「不味い、このままじゃポッター達を見失う……」
「そうだドラコ、良い手を考えたぞ!」

 このままハリー達を見失うわけにはいかない!
 クリスは猛スピードの中、危なっかし気に片手でドラコの背中につかまりながら目を閉じ、神経を集中させると、もう一方の手で召喚の杖を構えた。
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