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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第14章 【ゴドリックの谷】


「それじゃあシリウス、何をすれば良いんだ?」
「現地調査さ。さあ、私の腕につかまって」

 言われた通りシリウスの腕につかまると、一瞬ゴム管を通るように体がギュッと縮む様な嫌な感覚がした。それを通り越し、目を開けてみると、そこは田舎っぽい町の入り口だった。入口の看板には『ゴドリックの谷』と書かれていた。

「シ、シリウス!!ここって……!!」
「ああ、ハリーやジェームズ、リリーたち一家が暮らしていた町だ」

 そうだ、16年前の10月31日。その日ハリーは両親を亡くし、『生き残った男の子』として生きていくことになった。いわば、ハリーを『ハリー・ポッター』たらしめたの所縁の地である。
 また、ホグワーツ創設者の内の1人、ゴドリック・グリフィンドールが生まれ育った町としても有名だ。

 クリスは好奇心から、ついつい辺りをキョロキョロ見回しながら、真っすぐ雪道を歩くシリウスに置いて行かれなように少し速足で歩いた。

「現地調査って、一体何があったんだ?」
「日刊預言者新聞に、バチルダ・バグショットという有名な歴史家が亡くなったという記事があったんだ。それだけならまだしも、どうやら家は半壊していたらしい」
「という事は、強盗殺人?」
「いや、警察は事件と事故両方で見ている、バチルダは相当な年寄りだっからな。魔法を誤っても仕方がない歳だ。だが、私の感では違う」
「と、言うと?」
「恐らく『例の奴』か『死喰い人』が絡んでいる。」

 それを聞いたクリスは、反射的にピタッと足を止めた。が、次の瞬間には何事もなかったように再び歩き始めた。だが心臓は誤魔化せないくらい大きく音を立てている。

 ここはハリーにとって特別な場所のはずだ。それなのに奴が、ヴォルデモートが再びこの地に足を運んだなんて……。
 奴はいったい何度ハリーの人生を土足で踏みにじれば気が済むのだろうか。
 クリスは怒りと焦燥感に襲われたが、それを悟られぬよう、何事もなかったかのように質問をつづけた。
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