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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第14章 【ゴドリックの谷】


「……旧グリニッジ天文台とロンドン塔、グロスター大聖堂、ストーンヘンジにネス湖か。それとセブンシスターズも行ったな」
「どれも外れだったけれどな」
「それにしたってまさか『数占い学』で行き先を決めていたなんてな。グレンジャーの脳みそはホグワーツの外じゃ機能しないのかい?」
「仕方がないさ、なにせ情報が少なすぎるんだ」

 ドラコはハーマイオニーのことを鼻で笑ったが、クリスの言う通り、本当に情報が少なすぎるのが難点だった。

 生前のダンブルドアと、私的に話したことなど殆どない。あるとすれば、ダンブルドアの妹についてだけだ。
 あの時だけは校長としてではなく、アルバス・ダンブルドア一個人として話してくれたと思う。
 だけれど、それが何に繋がるのか……。クリスは何度頭をひねってみても、ダンブルドアの思考回路について行くことが出来なかった。

「ダンブルドアも厄介な遺言を残したもんだ。流石はマーリン勲章勲一等者だな、我々一般人には荷が勝ちすぎる」

 一向に手がかりが掴めない今の現状に、ドラコの嫌味も徐々に強くなってきていた。その気持ちは痛い程分かる。なにせこの見通しがたたない苛立ちが原因で、クリスを含むロンとハリー達は離れ離れになったのだから。
 クリスは同じ轍を踏まないよう、ドラコに気分転換を提案した。少しでも気が晴れれば、ドラコの愚痴もおさまるだろう。

「なあドラコ、今日は丸1日休みにして気晴らしに街に出ないか?」
「何を言っているんだいクリス、君には多くの懸賞金がかけられているんだぞ?それなのに街にくり出すだなんて……」
「良いじゃないか、私は賛成だ。部屋に閉じこもってイライラしているよりよっぽど健康に良い」

 そう助け舟を出してくれたのはシリウスだった。相変わらず新聞を読みながら、たばこの煙をスーッと真っすぐ吐いた。

「……いや、この際だ。ちょっと騎士団の仕事を手伝ってみないかい?」
「僕は御免だ、お前らの使いッ走りなんて冗談じゃない!」
「私は賛成だ、ちょうど気分転換がしたかったんだ」

 このままイライラしていても、何も良い事なんて起こらないことは身をもって知っている。
 クリスはシリウスの提案に賛成したが、ドラコは家に残ることを選んだ。残された時間は短い。なら1人でも魔法の特訓をしている方が有用らしい。
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