第14章 【ゴドリックの谷】
クリスとドラコとシリウスの3人が共同生活をするようになってから、早くも2週間が経った。
だがハリーを見つけることも、分霊箱を見つけることもできず、毎日毎日じれったい日々を送っていた。
情報の収集やかく乱、統制は不死鳥の騎士団が行っているので、クリスは時々『W・W・W』に顔を出し、何か少しでもハリー達に関する情報がないか、フレッドやジョージに訊いていた。だが、これと言った朗報が耳に入ってくることはなかった。
その一方で、クリスはドラコを相手に摸擬戦をし、杖を使いこなせるよう特訓もしていた。その甲斐あって、徐々にではあるが、杖の力を制御する方法が身についてきた。
また時々、ドラコとシリウスが訓練と称して激しいバトルを繰り広げている時もあった。
最初はどうなるかと思った共同生活だったが、思いのほかドラコとシリウスの仲は悪くなく、寧ろ傍から見ると2人とも白熱したバトルに興じている節すら見えた。
その日も朝から雪が降っており、降り積もる雪を見ながら、クリスはハリーとハーマイオニー、そしてロンの身を案じていた。
こんな雪の中で、ハリーとハーマイオニーはまだ辛く厳しい旅をしているのだろうか?
ロンとは無事合流できたのだろうか?それとも、ロンは未だに例のロケットを身に着けて各地を放浪しているのだろうか?
だとしたら人一倍呪いに耐性のないロンのことだから、かなり危険な状態になっているはずだ。一刻も早くロンを見つけ、みんなと合流しなければ……。
そんな事を考えていると、過去にシリウスがグリモールド・プレイスに閉じ込められていた時の気持ちがよく分かった。皆の身を案じながら、ジッとしていなければならないのは本当に辛い。
「はあ……」
降り積もる雪を窓から眺めながら、クリスはため息を吐いた。今日はシリウスも休暇らしく、ゆったり新聞を読みながらたばこを吸っている。
ドラコはドラコでテーブルの上に地図を広げると、これまでに訪れた場所に赤いインクで×印をつけていた。